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エッセイ

薺咲くバージンロード

父と歩むバージンロード振り返ればそこここに生うぺんぺん草は  東武東上線常盤台駅から徒歩五分の所にある「常盤台バプテスト教会」で五十年近くも前に挙げた結婚式を思い出して作った歌である。父と共に腕を組んで歩いたのは私の記憶にある限りこれのみし...
エッセイ

桜におもうこと

今、まさに桜満開である。この時期になると、私ならずとも日本中がそわそわうきうきする。この花の咲く姿を見逃したら、この年にこの春に置いて行かれそうな気がしてならないからだ。  私の家から十五分ほど歩くと東坂戸団地がある。正確にはわからないが大...
エッセイ

三日月さまの目

運動会といえば、遠い遠い私の運動会を時々思い出しては、涙ぐむことがある。それは一等を取り続けたこと、陸上選手で活躍したことでもない。  小学四年生のときの運動会、今もどこの学校でも、ダンス、遊戯の披露があるが、私たちの時もあった。今の子供た...
エッセイ

東日本大震災

発生時のわたし  忘れようとしても忘れられようか。いや絶対に忘れてはならないことである。二〇一一年3月十一日、午後二時四十三分、東日本を襲った巨大地震、それに伴う巨大津波を。  そのとき私は厨房においてあるマッサージ機に身をゆだね、ウトウト...
エッセイ

雨傘

1年で一番雨が降るのは9月で、梅雨のシーズンより雨の降る量が多いそうである。振り返ってみるとそんな気がするし、事実そうなのだろう。しかしここに来てその定説も危うくなったように思う。第一梅雨の言葉さえ死語となったと思うくらいなのだから。  梅...